「知的財産権侵害に関する民事紛争事件の審理における懲罰的損害賠償の適用に関する解釈」
2026年4月20日、最高人民法院は「最高人民法院による知的財産権侵害に関する民事紛争事件の審理における懲罰的損害賠償の適用に関する解釈」(法釈〔2026〕7号、 2026年5月1日より施行、以下「新解釈」という)を公布し、「最高人民法院による知的財産権侵害の民事事件の審理における懲罰的賠償の適用に関する解釈」(法釈〔2021〕4号、以下「旧解釈」という)を改正した。新解釈は計14条からなり、懲罰的損害賠償制度をさらに明確化しており、主な内容は以下の通りである。
一、「故意」の事由の追加
「故意」は懲罰的損害賠償を適用する前提となる。新解釈第6条には、以下の2種類の故意の事由が追加された。
① 背信行為:和解し、かつ侵害の停止に同意した後、再度侵害を行うこと(第6条第6項)。
② 回避行為:実質的な支配関係を隠蔽する(法定代表者の変更等)または免責契約を締結し、責任を回避すること(第6条第7項)。
二、懲罰的損害賠償の算定基準のさらなる明確化
旧解釈第5条では、懲罰的損害賠償額は、実際の損失額、違法所得額、または侵害による利益を算定基準とすべきと規定されていた。しかし、被告が会計帳簿を提出しない、あるいは虚偽の帳簿を提出した場合、算定基準の算出が困難となる。この問題を解決するため、違法所得額および侵害による利益の算定方法について、新解釈第9条では以下のように明確化している。
① 算定基準額=
i. 売上高×売上利益率(知的財産権の侵害を業とする場合*)
ii. 売上高×営業利益率(知的財産権の侵害を業としない場合)
* 侵害行為を主たる事業とする場合、または侵害による利益を主要な収益源とする場合を指す(第7条第4項)
② 利益率=
i. 実際の利益率(確定可能な場合)
ii. 同時期の同業界平均利益率または権利者の利益率(実際の利益率を確定できない場合)
三、二審において懲罰的損害賠償請求を追加した場合の取り扱い
旧解釈では、二審において懲罰的損害賠償請求を追加する場合、裁判所の調停が成立しなかった後、別途提訴することができると規定されていた(第2条)。訴訟の効率化を図るため、新解釈では以下のように規定している:
① 調停が成立しない場合、請求は認められない(第3条)。
② 裁判所の説明を受けてもなお懲罰的損害賠償を請求せず、別途提訴して請求した場合は、受理されない(第4条)。
したがって、権利侵害を遭った企業は、第一審終了前に懲罰的損害賠償に関する証拠収集と請求を完了することが推奨される。






