「最高人民法院による建設工事施工契約紛争事件の審理における法律問題適用に関する解釈(二)」
建設工事の品質向上を促進し、建設業の発展を保障するため、裁判の経験を踏まえ、中国最高人民法院は2026年6月29日、「最高人民法院による建設工事施工契約紛争事件の審理における法律問題適用に関する解釈(二)」(法釈〔2026〕12号、以下「解釈二」といい、2026年6月30日より施行)を公布した。この司法解釈は計23条からなり、主に以下の規則を明確にしている。
一、固定価格契約は、原則として価格変動を理由に価格調整を行ってはならない
解釈二第9条は、固定価格契約において、人件費や主要資材価格に重大な変動が生じたことを理由に価格調整を請求してはならないと規定している。ただし、当事者間で別段の合意がある場合、又は情勢変更の原則に該当する場合はこの限りではない。
発注者であれ請負業者であれ、固定価格契約を締結する際、日本企業は契約書に価格調整条項(例えば、主要資材価格が±5%を超えて変動した場合は協議の上調整する、など)を明確に定めるべきである。
二、「契約の約定を参照する」範囲
建設工事施工契約が無効であるものの、建設工事が検収に合格した場合は、契約における工事代金に関する約定を参照して、請負業者に代金を補償することができる(民法第793条第1項)。実務上、「参照」の範囲については争いがあり、一部の法院は、単に価格算定基準のみを指すとの見解を示している。この争点を解決するため、解釈二第11条では、「工事代金に関する契約の定めを参照する」には、代金額、算定方法、支払時期、調整方法、精算方法などが含まれると明確にされている。
この改正を十分に活用し、契約解除後に損害賠償をめぐる紛争が発生するリスクを低減するため、工事代金に関する条項を可能な限り詳細に定め、支払時期、算定方法、調整方法、精算方法などを明確にすることが推奨される。
三、監査結果/財政審査結論の拘束力
解釈二第13条は、監査/財政審査の結論を基準とする旨の約定がある場合はその約定に従うが、請負業者の責に帰さない事由により合理的な期間内(最長1年)に結論が示されなかった場合、又は審査結論が施工契約の約定と明らかに矛盾する場合は、請負業者は司法鑑定を申請できると規定している。約定がない場合、発注者は一方的に監査結果を基準とすることを要求してはならない。
日本企業が請負業者として政府プロジェクトを受注する場合、発注者が1年を超えて監査結論を出さないときは、司法鑑定を申請することができる。
四、品質が約定に合致しない場合の修復手続き
建築工事の品質が約定に合致しない場合の処理方法について、解釈二第16条は、発注者はまず請負者に修復を通知しなければならず、直接修復費用の支払いを請求してはならないと明確にしている。請負者がこれを拒否した場合、又は期限を過ぎても修復を行わなかった場合、発注者は自ら修復を行った後、請負者に合理的な費用の負担を求めることができる。日本企業が発注者として品質上の問題を発見した場合は、直ちに書面で請負者に通知し(写真などの証拠を添付)、送達証明を保管しなければならない。通知なしに直接第三者に修復を依頼した場合、元の請負者に対して求償することはできない。日本企業が請負者である場合、発注者から修復を求められたら、速やかに修復を行い、発注者から不当な修復費用の支払いを請求されるのを防ぐ必要がある。
五、代物弁済合意に基づく優先弁済権の行使条件
解釈二第18条の規定によれば、請負人が代物弁済合意に基づき優先弁済権を行使したと主張する場合、以下の要件をすべて満たす必要がある。
(1)品質が合格していること
(2)工事が代金相殺の対象となり得ること
(3)発注者が支払期限を過ぎても、催告にもかかわらず支払わないこと
(4)代金相殺額が工事の実際の価値と基本的に相当であること
日本企業が発注者として代物弁済合意書を受領した際は、品質検査が合格しているか、工事が代金相殺に適さないものではないか、代金相殺額が公正であるかを確認すべきである。請負業者として、代物弁済合意書がすべての要件を満たしていることを確認するとともに、18ヶ月の行使期限に注意する必要がある(「建設工事施工契約紛争事件の審理における法律適用問題に関する解釈(一)」第41条)。






