「上海市によるハイエンド医療機器の全産業チェーンの発展促進に関する行動計画」
ハイエンド医療機器(高精度な画像診断装置や先進的な手術用ロボット等)は、医療サービス水準を向上させるキーポイントである。これらのハイエンド医療機器の研究開発、製造及び運用を促進するため、上海市人民政府弁公庁は2025年9月4日に「上海市によるハイエンド医療機器の全産業チェーンの発展促進に関する行動計画」(以下、「計画」という。滬府弁発〔2025〕17号、同日から施行)を公布した。当該「計画」は、ハイエンド医療機器の発展に関して7つの方向性で20の措置を提出し、主な内容は以下の通りである。
一、ハイエンド医療機器の商業化の加速
革新的な医療機器に対して、医療保険予算による個別枠支払い(医療保険予算から控除することではなく、医療保険基金から一般予算とは別に独自に割り当てて支払うことを指す)、DGR(診断群分類)やDIP(診断病種別支払)に基づく医療保険改革において個別に支払い、支払基準を引き上げるといった措置を講じる。これにより、新製品がより迅速かつ効率的に上市し、適切な対価を得ることが可能になる。また、ファイナンス・リースやリース・トゥ・バイなどの方式が奨励され、企業に新たな販売モードを提供している(11番目の措置)。
二、ハイエンド医療機器における外資との協力の強化
外資企業と医療機関の協力を支援し、多施設共同臨床試験を実施して製品の登録・上市を加速させ(13番目の措置)、輸入医療機器への中国語ラベル貼付規定などを実行し、ハイエンド医療機器の通関手続きの利便性を最適化する措置を講じる(19番目の措置)。これらの措置は、ハイエンド医療機器の研究開発・製造企業に、製品の迅速な登録・上市を可能にする。ただし、上海へハイエンド医療機器を輸出する際には、企業は中国語ラベルを貼付する必要があることには留意する必要がある。これにより、「中国(上海)自由貿易試験区輸入医療機器中国語レベル貼付規定(試行)」(滬薬監規〔2024〕7号、2025年1月1日から施行)が実質的に市全体に拡大されることを意味している。
三、ハイエンド医療機器の全産業チェーン化の加速
浦東新区、閔行区、嘉定区にハイエンド医療機器産業クラスターを構築し(15番目の措置)、インキュベーターや概念実証プラットフォーム等の公共サービスを提供する(16番目の措置)。同時に、先行産業マザーファンドや未来産業ファンド等を通じて金融支援を強化し(17番目の措置)、人材の育成と誘致を奨励する(18番目の措置)。これらの措置により、企業が研究開発、生産、資金調達、人材等の様々な側面で強力な支援を得ることができる。