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ホームページ > 論文/書籍 > 法律考察 > 『事業者結合独占禁止コンプライアンス・ガイドライン』

『事業者結合独占禁止コンプライアンス・ガイドライン』

 2023-09-28145

概 要

国家市場監督管理総局は911日、『事業者結合独占禁止コンプライアンス・ガイドライン』(以下、「ガイドライン」)を公布した。

本ガイドラインは、2008年の『独占禁止法』実施後で初めて、国務院の独占禁止執行機関が事業者結合規制の分野において公表したコンプライアンスに関するものである。事業者結合規制の特徴と会社のコンプライアンス・ニーズに焦点を当て、企業にとって有益な参考情報を提供する。事業者は、自らの事業規模、管理モデル、コンプライアンス体制などの状況に応じて、社内のコンプライアンス管理体制を構築し、コンプライアンス管理能力を高めることができる。

本ガイドラインの要点は以下の通りである。

1. 株式取得比率だけが支配権判定の唯一の要素ではないことを事例を通じて明確化

ガイドライン第111項の事例によれば、ある企業が他の企業の少数の株式だけを取得した場合であっても、年間事業計画、財務予算、高級管理職の任命・解任などの経営管理事項を単独で拒否できる場合、その取得者が被取得者に対して(共同の)支配権を有しているとみなされ、その取引は事業者結合を構成する。またこの事例は、少数の株式の投資だけでも事業者結合の申告義務を引き起こす可能性があることを示している。従来の法執行機関が公表した処罰公告によれば、ターゲット企業の株式のわずか6%しか取得していない取引が、ターゲット企業の支配権を取得したと認定され、事業者結合を違法に実施した結果、処罰されたことがある。

2. 事業者結合を実施する、異なる事例に対する法的責任を区別

ガイドラインは、『独占禁止法』における事業者の法的責任を整理し、事業者結合に係る様々な法律違反行為により事業者が負担しうる法的責任が一目でわかるようになっている。改正後の『独占禁止法』施行前の法律違反責任(最高過料50万元)と比較し、現行の処罰力は大幅に強化され、その責任は大きく増加している。また、法律に違反して事業者結合を行った企業だけでなく、審査・調査を妨害した個人も法律違反の責任を負わなければならない。その処罰された行為は信用記録に記録され、社会に公示される。従来の単一の行政罰である過料から、多様な責任負担方式へと変わった。

3. 事業者結合のコンプライアンス体制が行政罰の軽減を検討する要因の一つであることを明示

ガイドライン第32条は、事業者結合のコンプライアンス体制に対する奨励措置を追加し、事業者結合を違法に実施する行為に対して調査・処罰する場合、当該企業の事業者結合の独占禁止コンプライアンス体制の構築・実施状況を行政罰の減免の検討要因とすることを初めて明確にした。これにより、企業が独占禁止に関する内部のコンプライアンス体制を適切に構築し、効果的に実施しているかが、独占禁止に関する調査、例えば未申告の取引が誤って行われた場合などの過料の軽減の適用において、重要な要因となる。企業がすでに健全な内部コンプライアンス管理制度や体制を構築している場合であっても、具体的に過料を軽減することを検討する場合、事件の情状、又は企業が構築したコンプライアンス管理制度が法律違反行為に与えた影響も総合的に審査される。