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ホームページ > 論文/書籍 > 法律考察 > 『標準必須専利分野の独占禁止に関するガイドライン(意見募集稿)』

『標準必須専利分野の独占禁止に関するガイドライン(意見募集稿)』

 2023-08-16102
[要約]国家市場監督管理総局令第79号の一部細分化を含む

概 要

国家市場監督管理総局は630日、『標準必須専利分野の独占禁止に関するガイドライン(意見募集稿)』(以下、「意見募集稿」)を公示した。

本意見募集稿は、事業者が標準必須専利を濫用して競争を排除・制限することを防止・阻止するために制定された。意見募集稿は、標準化の過程における情報開示の要求を明確に提示している。標準化に参加する専利権者または専利出願者は、標準化機関の規定に従い、標準化のいかなる段階においても、適時に自らの専利権を全面的に開示しなければならない。専利権者は、自己の専利が標準に含まれる場合、公正、合理的かつ非差別的な承諾を積極的に行い、関連する証拠書類を保持しなければならない。

標準必須専利に関わる独占紛争および差止請求訴訟において、交渉が誠実に行われたか否かは、よく考慮されるべき重要な要件の一つとなる。意見募集稿は、以下のような誠実な交渉の手順と要件を明確に定めている。

1)標準必須専利の権利者は、標準実施者に対し、標準必須専利のリスト、標準必須専利と標準の比較表、フィードバックの合理的な期間やその他の具体的な内容を提供することを含め、許可交渉のための明確な申し出を行わなければならない。

2)標準実施者は、合理的な期間内にライセンスを取得する善意の意思を表明しなければならない。すなわち、悪意の遅延、正当な理由のない許可交渉の拒否、またその他の事情がないこと。

3)標準必須専利の権利者は、実施料率の計算方法とその合理性の理由、標準必須専利保護の制限期間、標準必須専利の譲渡状況やその他許諾に直接関連する必要な情報と実情など、権利者の公正、合理的、非差別的な承諾に合致する実施許諾条件を提示しなければならない。

4)標準実施者は、合理的な期間内に実施許諾条件を受諾し、実施許諾条件を受諾しない場合は、合理的な期間内に公平、合理性、無差別の原則に従い、実施料率、サブライセンスなどの実施許諾条件に関する提案を提出しなければならない。

本意見募集稿では、標準必須専利権者は法律に基づき、裁判所又は関係当局に対し、当該専利権の使用を禁止する判決、裁定又は決定を下すことを請求する権利を有すると指摘している。また、当事者が誠実に実施許諾交渉の過程を経なければ、濫用の疑いがあることを考慮すべきであると明確化している。したがって、差止請求による救済を採用する前に、標準必須専利の専利権者は、誠実な交渉過程を経ており、過失がないことを確認すべきである。

標準必須専利の不正使用の判断について意見募集稿は、不当な高対価、取引拒絶、抱き合わせ販売、不利益となるように取引の条件を設定する、差別的に取り扱う行為に対して、標準必須専利を扱う際に考慮すべき要件を列挙している。不当な高対価に関しては、標準必須専利の所有者は、その量と質の変化に基づき、実施料金を適時かつ合理的に調整することが求められる。調整が不要な場合、最初の実施許諾交渉で考慮された標準必須専利の量と質の変化の要因など、合理的な根拠を収集することが推奨される。抱き合わせ行為については、標準必須専利の所有者が、抱き合わせまたはパッケージライセンスの必要性もしくは業界の慣行に沿ったものであることを確認することを推奨する。標準実施者が1つまたは複数の必須専利の個別の許可獲得を明確に申し出る場合、標準必須専利の権利者は全面的な評価を行い、実行可能で大きな負担にならないのであれば許可することが適切である。標準必須専利の権利者は、合理的な理由なく非標準必須専利と標準必須専利を抱き合わせ許可せず、合理的な理由なく無効や期限切れ専利に対して抱き合わせ許可を行わないことを保証する必要がある。

本意見募集稿は、企業による標準制定、標準必須専利の交渉や許可などの各段階における独占禁止法のコンプライアンス問題について、詳細なガイダンスを提供している。