反外国不当域外管轄条例
域外適用とは、自国の法律を自国の主権管轄範囲外で適用することを指す。2026年4月7日、国務院は『中華人民共和国反外国不当域外管轄条例』(国令第835号、以下「条例」という。公布の日から施行)を公布した。
条例は計20条からなり、悪意のある実体リスト制度、執行禁止令制度など、外国の不当な域外適用に対抗するための制度的措置を新設しており、主な内容は以下の通りである。
一、不当な域外適用の評価と対抗措置(第6条)
本条例は、国務院が、不当な外国の域外適用が中国の国家主権および安全に与える影響、ならびに中国公民および組織の合法的権益への損害等について評価を行うことを規定している。評価の結果、影響があると認められた場合、いかなる組織または個人も、外国による不当な域外適用措置を執行したり、その執行を支援したりしてはならない。特別な事情により執行または執行支援が真に必要である場合は、国務院の同意を得た上で、特定の範囲内においてのみ執行することができる。
企業に対しては、クロスボーダー取引文書に、「対抗制裁法の適用」を理由として契約を履行できない場合の免責条項を追加することを推奨する。
二、執行禁止令制度の設立
本条例は、国務院が外国による不当な域外管轄措置の執行を禁止する決定(第13条第2項、以下「執行禁止令」という)を下すことができると規定しており、具体的な措置は以下の通りである(第17条)。
■是正を命じること
政府調達、入札・落札、および関連する貨物・技術の輸出入または国際サービス貿易等の活動への従事を禁止または制限すること
■中国国外からのデータ・個人情報の受領、または中国国外への提供を禁止または制限すること
■出入国、および中国国内での滞在・居住を禁止または制限すること
■罰金を科すこと
三、悪意のある実体リスト制度の新設
本条例は、外国による不当な域外管轄措置の実施を推進または関与した外国の組織・個人を、国務院が「悪意のある実体リスト」に追加する権限を新設し、リストに掲載された組織・個人に対して以下の対抗措置および制限措置を講じる(第8条)。
■ビザの発給拒否、入国不許可、ビザの取消し、または期限付き出国、国外退去、強制送還
■関係者の中国国内における就労、滞在または居住資格の取消しまたは制限
■中国国内における動産、不動産およびその他の各種財産の差押え、押収、凍結
■中国国内の組織・個人による当該組織・個人へのデータ・個人情報の提供、および当該組織・個人との取引・協力等の活動の禁止または制限
■中国に関連する輸出入活動の禁止または制限
■中国国内における投資の禁止または制限
■製品、輸送手段等の中国への持ち込みの禁止または制限
■罰金
四、結語
条例は、米国等の国による不当な域外適用に対抗するための法的保障を中国に提供している。条例における不当な域外適用の評価については依然として不明確な点があるため、中国が今後、不当な域外適用を評価する際の具体的な基準については、細則や司法実務による確認が待たれる。現時点において、中国国内の現地法人は、国務院が発表する不当な域外適用に関する公告に留意し、域外適用の執行により悪意のある実体リストに掲載され、罰金を含む多岐にわたるリスクを招くことを回避すべきである。






