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ホームページ > 論文/書籍 > 法律考察 > 会社法第49条における株主の出資形態に関する規定

会社法第49条における株主の出資形態に関する規定

 2025-12-2465

一、株主出資の形式に関する要求

「中華人民共和国会社法」(2023年改正、以下「会社法」という)は、有限責任会社の登録資本金は全株主の引き受け出資額とし、株主は定款に従い会社設立日から5年以内に全額払い込むものと規定している(「会社法」第47条第1項)。株主は金銭による出資のほか、現物、知的財産権、土地使用権、株式、債権など、金銭評価が可能かつ法的に譲渡可能な非金銭財産を評価額に応じて出資することができる(「会社法」第48条第1項)。金銭による出資を行う株主は、当該出資額を全額、有限責任会社が銀行に開設した口座に預け入れなければならない(「会社法」第49条第2項)。

金銭出資については資本検証報告書の提出は不要であるが、会社は国家企業信用情報公示システムにおいて、引受額と払込済額を真実に基づき公示しなければならない。商業実務において、株主が法定形式の要求から逸脱した方法で会社に資金を払い込みした場合、当該資金は後日法的に「出資」と認定されず、株主の会社に対する「普通債権」あるいは「劣後債権」(すなわち普通債権が全額弁済された後に初めて弁済される債権)と認められる可能性がある。会社が債務超過に陥り満期債務を返済不能となった場合、株主は未履行の出資義務について依然として責任を負い、外部債権者は株主に対し出資未履行範囲内の法的責任を追及する権利を有する。本稿では二つの典型的な事例を分析し、株主の金銭出資形式の不備の認定及びその法的帰結を明らかにする。

 

二、事例分析

A. 支払経路の不適切により出資が認められない事例

2024)最高法民申4492号事件において、株主は出資を完了したと主張し、振込記録を提出した。しかし当該記録には、資金が主に会社の法定代表者の個人口座に振込しており、かつ用途が明記されていないことが示されていた。同時に、国家企業信用情報公示システムには、その出資額が未払込であることが表示されていた。

裁判所は、個人口座への振込かつ備考なしの行為は出資の形式要件を満たさないと判断した。株主の内部資金移動は、外部第三者が公式公示情報を合理的に信頼することを妨げられない。したがって、株主は未出資範囲内で責任を負うよう命じられた。本件は、支払経路の誤り(資金の受取先が会社の銀行口座でないこと)が直接的に出資行為の法的無効を招きうることを示している。

B. 意思表示不明により「出資金」が「普通債権」と認定された事例

2024年江蘇省裁判所における企業紛争の典型事例の一つ(蒋某訴余某等事件)において、株主が資金を会社口座に振り込んだが、用途を明記しなかった。会社経理はこれを株主に対する未払金として計上した。その後会社が債務履行不能状態(破産基準)に陥った際、当該株主は当該資金を出資とみなすべきと主張した。

裁判所は、株主が会社に投入した資金が「投資金」または「出資金」として投入されたものではなく、会社の帳簿にも出資金として記録されていない場合、当該資金は株主が会社に対して有する債権に過ぎないと認定した。会社が債務履行能力を失った場合、株主が会社に対して有するこの種の債権は、会社に対する出資義務と相殺することはできない。これは、株主が債権回収の困難に直面すると同時に、出資義務が免除されないことを意味する。

 

三、手続き上の瑕疵とリスク

上記の二つの事例を合わせて考えると、株主が出資金を法定の会社口座に振り込まない場合、または振り込んだものの振込時に「出資金」など投資の性質を示す文言を明記しない場合、出資行為には瑕疵が生じる。

株主の「投資金」が出資と認められない場合、通常は会社の債権として扱われ、資本とはみなされない。株主は依然として出資義務を負い、会社に対し全額を納付すべきであるほか、会社に生じた損失について賠償責任を負う(会社法第49条第3項)。会社が満期債務を弁済できない場合、未払込出資の期限前弁済が請求される可能性がある。すなわち、会社または満期債権の債権者は、出資を引受したが払込期限が到来していない株主に対し、出資の期限前弁済を請求する権利を有する(会社法第54条)。また、未出資額の範囲内で、外部債権者に対する未弁済部分について補充賠償責任を負う(「最高人民法院による『中華人民共和国会社法』の適用に関する若干の問題の規定 (三)(2020年改正)」第13条)。

株主が会社に対して有する「株主債権」は、会社が債務超過状態にありかつ破産原因が存在する場合には、劣後債権と認定される可能性がある。「会社法」実務で参照される「衡平優先原則」(深石原則)によれば、株主の身分及び不法行為(出資虚偽)により生じた会社に対する債権の弁済順位は、会社外部の普通債権者に劣後する。この劣後地位は株主の法定出資義務の履行に影響を与えず、株主は依然として個人財産をもって出資額を全額払い込む義務を負い、会社が満期債務を弁済できない場合には、未出資または出資不実の範囲内で会社債務に対する補充賠償責任を負う。

 

四、コンプライアンスに関する提言

上記のリスクを回避するため、株主は以下の規範的な手順を踏むことで、完全な出資証拠チェーンを形成することを推奨する。

1.支払経路の適正化:出資金全額を会社の公式銀行口座に振り込むこと。

2.意思表示の明確化:振込時に「投資金」または「資本金」など出資意図を示す文言を明記すること。

3.内部手続きの完備:会社に対し、出資を財務帳簿に速やかに記録し、出資証明書を発行し、株主名簿を更新するよう要求すること。

4.公示情報の同期:会社の払込資本変更登記を申請し、国家企業信用情報システムで公示する。

「会社法」第49条の株主出資形式要件を厳格に遵守し、上記プロセスに従うことで、株主の資金投入が法律上の「出資」に該当することを確保する。これにより個人財産と会社債務のリスクを効果的に分離し、株主権益の完全な実現を保障する。


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