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ホームページ > 論文/書籍 > 法律考察 > 最高人民法院が「特許権行使を経て締結された和解合意が独占禁止法に違反する事例」を発表

最高人民法院が「特許権行使を経て締結された和解合意が独占禁止法に違反する事例」を発表

 2023-01-17166

概 要

中国最高人民法院は、20221117日に「独占禁止の典型事例」として10案件を公表した。そのうち、「オフサーキットタップチェンジャーの知的財産権侵害に関する和解合意が水平的独占合意に該当するとされた紛争」(【2021】最高法知民終1298号)は、大きな注目を集めた。

Yは遮蔽装置付OCTCの特許権者であり、2015年にXを被告として特許権侵害訴訟を提起した。2016年1月、YXと和解合意を締結し、訴訟を取り下げた。2017年と2018年、YXが和解合意を違反したとして提訴した。2019年、Xは、当初の和解合意が独占禁止法に違反し無効であることを理由に、本件訴訟を提起した。第一審では、Xの請求が棄却された。第二審では、最高人民法院は(1)和解合意が独占禁止法に違反しているか否か、(2)Yが負担する損害賠償の範囲の2点を主たる争点として審理を行った。

争点(1)について:本件和解合意がかかる制限は本件特許の権利保護範囲と実質的な関連性を欠いており、本当の目的は製品の生産数量及び販売数量を制限し、価格を固定させることであるため、「独占禁止法」第13条第1項第1号に定める水平的独占合意に該当し、無効であると判断された。

争点(2)について:Xが当事者として和解合意を締結し、水平的独占合意に参加しており、自身の行為が違法性を有するため、2017年違約事件の判決に基づいてXが支払った違約金を経済的損失とする損害賠償請求が棄却された。

本件判決は、特許権侵害事件において当事者が締結する和解合意が独占禁止法に違反するかどうかについて、詳細な分析を行っており、今後、同種事案において和解合意の適法性を検討するための一つの参考事例になると思われる。