次の産業変革の中核的な原動力である人工知能は、経済活動全ての段階を再構築し、各分野の新しいスマート化ニーズを形成させるが、中国の人工知能の全体的な発展レベルが先進国と比較して一定のギャップは存在する。従いまして、国務院は2017年7月20日に『新世代人工知能発展計画』を公布した。長年の発展を経て、中国の人工知能の全体的なレベルが大幅に向上されたが、先進国と比較して一定のギャップがまだ存在する。天津における人工知能のさらなる発展を促進するために、天津市人民政府弁公庁は、2025年5月17日に『天津市人工知能（AI）革新発展促進行動計画（2025-2027年）』を公布した。中国の人工知能を発展させる長期計画のための地方的な行動計画として、当該計画には今後3年間の人工知能に関する天津の産業戦略が明記され、主な内容は以下の通りである。

1.基礎技術を発展させ、コア能力の高め

CPUやGPUなどのコアチップの研究開発及びアップグレードを支持し、コンピューティングパワープラットフォームの構築を促進する。先端の基本的な理論的研究を促進し、国内のオープンソースコミュニティの構築を強化し、アプリケーションシナリオ向けのテクノロジーの研究開発を促進する。高品質のデータセットとコーパスを構築し、データの開放的な共有を進め、データラベリング産業を積極的に発展させ、高品質のデータラベリング企業を育成する。

2.科学研究、製造及び医療などの分野における人工知能技術の適用を促進する『人工知能+』計画を実施する

3.高品質の企業とプラットフォームを育成し、産業の集中的な開発の促進

強力な科学・技術的属性と優れた発展の可能性を備えたテクノロジー型中小企業を育成し、天津で発展させるように有名な国内外の有名な人工知能会社を誘致する。ヒューマノイドロボットの主要領域に関する研究を促進し、『ロボット+ビッグモデル』の統合発展を支持し、水中ロボット、産業ロボット、特殊用途ロボットの研究開発と応用を促進する。ヘリコプター、ドローン、EVTOLなどの技術と製品の研究開発と応用を支持し、スマート農業、交通・輸送、文化・観光産業の発展を促進する。

4.要素供給の強化、発展環境の最適化

財政的支援を強化し、人工知能の分野での国家政策支援を積極的に求め、市レベルの財政資金調達政策を合理的に運用する。人工知能におけるエンジェル投資型ファンド、起業投資ファンド、産業ファンドを設立するようソーシャルキャピタルをガイドし、人工知能企業と産業の金融資本サポートを強化する。銀行、保険及びその他の金融機関に、法律とコンプライアンスに合致してリスクが制御できる範囲に、中小企業のシナリオイノベーションに向けての金融商品を開発し、企業がシナリイノベーションを促進するための資金調達サポートを提供することを奨励する。企業にとってはリソース面での支援が期待される。

人工知能学科の建設を加速し、大学が人工知能に関連する学科及び学院を増設し、学際的人材の育成を支持する。企業の「海外進出』を誘導してトップクラスの国際人工知能会社や機関と協力することを支持する。これにより、日系企業が現地拠点を活用した研究開発活動や人材採用を検討するうえでの選択肢が広がることが予想される。