「株式信託財産の登記に関する試験的実施についての通知」
株式信託とは、株式を信託財産として、その管理、運用及び処分を行う信託を指す。株式信託の主な役割の一つは、信託財産が委託者及び受託者から独立しているという効力(以下「独立性」という)を活用し、財産の相続をより円滑にし、株式管理の負担を軽減することである。例えば、ある会社の株主の子が未成年であり、かつ家業を継ぐ予定がない場合、この時、子が管理の負担を負うことなく、より円滑に財産上の利益を得られるようにするため、当該株主は第三者(信託会社)に株式の管理を委託することができる。
早くも2001年、中国の立法者は、信託財産について信託登記を行うべきであると規定していた。信託登記を行わず、かつ事後登録もしない場合、信託は効力を生じない(「信託法」第10条)。信託登記は、財産を信託財産とし、独立性を備えるための前提である。しかし、現在に至るまで、株式を含む多くの財産の登記制度は、まだ明確化されていない。信託財産の登記問題を解決するため、中国共産党上海市委員会金融委員会弁公室等は2026年3月10日、「株式信託財産の登記に関する試験的実施についての通知」(沪委金融弁〔2026〕1号、2026年3月5日より施行、1年間の試行期間、以下「通知」という)を公布した。通知は、株式信託の登記手続きを詳細に規定している。具体的な内容は以下の通りである。
1.通知の適用対象となる株式及び受託者
通知によれば、通知の適用対象となる株式には、有限責任会社の持分及び非上場株式会社の発起人持分が含まれる(通知第1部)。合名会社の財産持分については、これに準じて適用される(通知第4部)。つまり、非上場株式会社の発起人以外の持分、及び上場会社の株式については、現時点では通知に基づき株式信託財産の登記を行うことはできない。
通知によれば、通知の適用対象となる受託者には、上海市内の信託会社及び慈善団体が含まれる(通知第1部)。
2.株式信託財産の登記手続(通知第2部)
流れ | 具体的な内容 |
信託商品の事前登記 | 信託会社が中国信託登記有限責任公司(以下「信託登記会社」という)に対し、信託商品の仮登記を申請し、信託登記コード及び「仮登記完了通知書」を取得する。 |
信託登記証明書 | 信託会社が信託登記会社に対し、信託登記証明書類の発行を申請する。 |
株主変更登記 又は設立登記 | Ø 株式信託を設立する場合、企業は会社登記機関に対し、株主変更登記の申請を行う必要がある。 Ø 信託存続期間中に新たに株式信託財産が追加された場合、信託機関等の申請者は会社登記機関に対し、設立登記の申請を行う。 Ø 登記申請の際には、法定申請書類及び信託登記証明書類を提出する必要がある。 |
株式信託登記の公示 | 会社登記機関は、国家企業信用情報公示システムにおいて、信託機関の名称情報の後に「信託名称+信託登記コード」と付記する。同時に、企業コードを通じて表示する。 |
信託商品の登記 | 変更登記又は設立登記後、信託会社が信託商品の登記を行う。 |
受益権証書申請 | 信託商品の登記完了後、信託受益者は信託登記会社に対し、信託受益権証書の発行を申請することができる。当該書類は、信託受益権の法定証憑となる。 |






