「中華人民共和国国防動員法」
改正後の国防動員法は、2026年8月28日に全国人民代表大会常務委員会で可決・公布され、2026年10月1日から施行される。同法は2010年の制定以来、初めての改正となる。改正により、国防動員の資源基盤は従来の物資、設備、人員から、データ、先端技術及び重要サプライチェーンへと拡大され、動員準備と国家安全保障体系との連携が強化された。以下では、中国で事業を展開する日系企業の経営との関連性が高い内容のみを抜粋する。
1、民間資源の動員範囲の拡大
改正後の法律は、国防動員に関わる民間資源の範囲をさらに明確化し、物資、設備、技術などを含み、企業の生産活動及び人的資源の動員・確保にも関わる。中国で事業を展開する日系企業にとっては、従来の工場、設備及び物資に加え、企業が保有するデータ、AI技術、車載ソフトウェア及び製造プロセス技術などの資源についても、具体的な法令規定及び関連する動員要請に照らして、潜在的な影響を評価する必要がある。
2、国防動員と国家安全保障体系のさらなる連携
今回の改正は、国防動員と経済、技術及び情報安全保障との制度面での連携を反映している。中国で事業を展開する日系企業にとっては、関連する資産及び技術が直面する可能性のある国家安全保障審査及び動員要請を、企業全体のリスク管理体制に組み入れる必要があり、一般の商業資産や営業秘密管理の観点のみから評価することは適切ではない。
中国で事業を展開する日本の自動車、電子、化学及び物流企業は、データと技術の管理範囲を再検討し、中国国内に保存されているデータ、技術資料及びシステムへのアクセス権限を明確にするとともに、日本本社及び第三国拠点との間のデータの流通・管理に関する取り決めを評価すべきである。同時に、生産基地、研究開発施設及び物流拠点が中国の特定地域に集中している企業は、潜在的な操業中断リスクを評価し、サプライチェーンのバックアップ及び事業継続計画を適切に整備する必要がある。
さらに、企業が中国の国防動員に関する要請に直面した場合には、具体的な状況に応じて、日本の経済安全保障法規、輸出管理その他の適用法令との関係を評価し、国境を越えて法的義務が衝突することによるコンプライアンスリスクの発生を回避する必要がある。






