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ホームページ > 論文/書籍 > 法律考察 > 「犯罪所得、犯罪所得收益隠蔽・隠匿刑事案件の法律適用に関する若干問題の解釈」

「犯罪所得、犯罪所得收益隠蔽・隠匿刑事案件の法律適用に関する若干問題の解釈」

 2025-10-1071
[要約]犯罪所得、犯罪所得收益隠蔽・隠匿罪の犯罪構成及び加重要件の明確化

犯罪所得、犯罪所得收益隠蔽・隠匿罪(以下「犯罪収益隠匿罪」という)は、実務上事件数が最も多いマネー・ロンダリング類の犯罪であると同時に、電気通信ネットワーク詐欺、ネット賭博などの犯罪と密接に関連する川下犯罪である。2015年、最高人民法院が公布した「犯罪所得、犯罪所得收益隠蔽・隠匿刑事案件の法律適用に関する若干問題の解釈」(法釈〔2015〕11号)は、犯罪収益隠匿罪の司法実務に重要な役割を果たしてきた。近年、犯罪方法が変化し、川上犯罪の種類も大きく変化しているなか、銀行カードに関わる幫助行為の犯罪を処罰する際、犯罪収益隠匿罪と情報ネットワーク犯罪活動幫助罪(以下「幫信罪」という)を如何に区別して認定するかに関する見解に相違がある。犯罪収益隠匿罪の犯罪構成をさらに明確化にし、犯罪収益隠匿罪への取り締まりを強化するため、最高人民法院と最高人民検察院は2025年8月25日に共同で「犯罪所得、犯罪所得收益隠蔽・隠匿刑事案件の法律適用に関する若干問題の解釈」(法釈〔2025〕13号)(以下「2025年版司法解釈」という、翌日から施行)を公布した。2025年版司法解釈は全12条からなり、主な改正は以下の通りである。

一、犯罪収益の内包の拡大

2025年版司法解釈は犯罪収益隠匿罪の中核概念としての犯罪収益をより包括的に定義し、より多くの変相的なマネロン行為を規制範囲に組み入れた。

2021年版司法解釈第10条は、「犯罪所得」を比較的限定的に定義し、「犯罪行為により得た不正の金銭及び物のみを、刑法312条に規定する『犯罪所得』と認定する」と記載されている。これに対し、2025年版司法解釈1条に、「刑法312条に規定する『犯罪所得』とは、犯罪行為により得た不正の金銭及び物その他の財産的利益を指す;『犯罪所得收益』とは、犯罪行為により得た果実等の財産的利益を指す」と明確に規定している。

2025年版司法解釈は「その他の財産的利益」という表現を追加することにより、犯罪収益の種類を従来の「犯罪行為により得た不正の金銭及び物」から仮想通貨、ネットワークアカウント、不法データ等を含む各種の財産的利益までに拡大し、これはデジタル経済時代の犯罪形態の変化に適応している。企業は、犯罪収益隠匿罪を構成すると誤認されることを避けるため、財産利益を取得する際の出所が合法的であるかに留意しなければならない。

二、犯罪行為種類の拡大

「その他の方法」の定義について、2025年版司法解釈も重要な改定を行った。2021年版司法解釈10条は「犯罪所得及びその生じた收益であると知りながら、隠匿、移転、買受け、代替販売以外の方法、例えば仲介売買、受領、保有、使用、加工、資金口座の提供によって、財物を現金、金融手形、有価証券に変換したり、資金を国外へ移転、送金したりすることを協力等する場合、刑法312条に規定する『その他の方法』と認定するものとする」と規定していた。2025年版司法解釈1条は、「刑法312条に規定する『その他の方法』には、犯罪所得及びその收益を隠蔽・隠匿するに足るあらゆる行為手段、例えば仲介売買、受領、保有、使用、加工、資金口座の提供、財産を現金、金融手形、有価証券に変換すること、振替その他の支払決済方式による資金移転、越境資産移転などが含くまれる」と定めている。

2025年版司法解釈は「その他の方法」の定義を列挙式から概括式に拡大し、「...を隠蔽・隠匿するに足るあらゆる行為手段」という表現で包括的に定義した。これにより、益々複雑化になるマネロン行為に対応できるようになった。

三、「知る」の内包の初の明確化

犯罪収益隠匿罪における「知る」の認定基準を初めて明確化にした点は2025年版司法解釈のハイライトの一つである。2025年版司法解釈2条は、「刑法312条に規定する「知る」には、「知る又は知るべき」が含まれる。行為者が接触・受信した情報、他人の犯罪所得及びその收益を取扱った状況、犯罪所得及びその收益の種類、金額、犯罪所得及びその收益の移転、変換方式、取引行為、資金口座の異常情況に基づき、行為者の職業経歴、川上犯罪の本犯者との関係、その供述と弁解などを総合的に審査判断しなければならない」と規定している。

四、犯罪収益隠匿罪の「情状が重大」の内包の改定と量刑バランスの考慮

2025年版司法解釈は、犯罪収益隠匿罪の加重要件を全面的に調整し、犯罪構成及び量刑の基準を川上犯罪と関連付けた。

2021年版司法解釈3条は、隠蔽・隠匿した犯罪所得及びその生じた收益の価値総額が10万元以上に達すると「情状が重大」と認定できると規定していた。2025年版司法解釈5条は、「情状が重大」の認定基準を川上犯罪の犯罪構成及び量刑の基準と関連付けた。例えば、不法採掘等金額が高い川上犯罪については、隠蔽・隠匿した金額が500万元以上でなければ「情状が重大」と認定できないが、その他の犯罪については、金額が50万元以上であるとしている。さらに、2025年版解釈は「繰り返し隠蔽・隠匿行為を行う」「財産の追徴に協力を拒む」などの加重要件を新たに追加した。

新旧版の対照からわかるように、2025年版司法解釈は「情状が重大」の金額基準を大幅に引き上げた。この調整は、近年の川上犯罪の犯罪構成及び量刑の基準の引き上げと平仄を合わせ、犯罪収益隠匿罪の量刑が過重になったことにより、川上犯罪の量刑と不均衡になることを避けることに着眼している。この改定は、司法機関が刑法体系内部の均衡と調和を重視していることを明らかにしている。


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