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ホームページ > 論文/書籍 > 法律考察 > コロナ禍常態下の企業が直面する労働雇用(広東省区域、深セン地区)

コロナ禍常態下の企業が直面する労働雇用(広東省区域、深セン地区)

 2022-11-08276

新型コロナウイルス感染症のパンデミックから3年近くが経過し、その間感染流行の波は何度も起こり、多くの企業が打撃を受けました。中国における“ゼロコロナ”政策を堅持する中、企業は当面、随時変動する感染流行の波に対処し、各種“常態化”感染対策の準備に対応する必要があります。感染流行の常態化感染対策措置の背景下における合法・コンプライアンス経営において、真っ先に影響を受けるのは労働雇用問題です。これについて、今回から数回にわたり、企業が感染対策措置における労働雇用に関するコンプライアンス面で問い合わせの多かった質問に対しアドバイスを行います。企業管理者及びHR担当者のご参考になれば幸いです。

注:本文での回答及び検討した質問事項は、広東省区域、及び深セン地区の関連政策・法規、実務処理に関する意見をメインとしていますので、他の地区の実務に関しては対応する地域の規定及び政策をご参照ください。

 

1:国慶節等の大型連休中、従業員が帰省、旅行した後、現地ではコロナ禍により管理規制が講じられ又は深センに戻った後、管理規制により所定の時間通りに出勤できない場合、企業はどう対応すればいいのか?出勤できない期間中の賃金待遇はどうやって支払うべきか?

1.労働者は新型コロナウイルス陽性者、ウィルス携帯者、感染の疑いがある人、濃厚接触者と認定され、法律に基づいて隔離され、通常通り出勤できない場合、使用者は通常の基準に従って隔离期間中の賃金を支払う必要があります。

2.労働者が外出の所在地において感染対策措置により管理規制及び封鎖され、又は深センに戻った後、自宅隔離が必要となり、又は居住する団地、ビルが管理規制及び封鎖された場合、使用者はまず労働者の役職及び業務内容が在宅勤務可能かどうかを検討し、労働者は電話やインターネット等を通じて通常労働を提供できる場合、使用者は通常労働の基準で賃金を支払う必要があります。労働者に在宅勤務を手配することが難しい場合は、使用者は労働者と協議により振替休日を手配するか、又は有給休暇を取得させることができます。労働者が出勤できない期間中に有給休暇を消化する場合、使用者は通常労働時間賃金を支払う必要があり、協議により振替休日を手配する場合、労働者はその後週末の休日に出勤することを明確にし、且つ通常労働時間賃金を支払う必要があります。労働者が在宅勤務やリモートワーク等によって労働を提供できず、また、未消化の有給休暇がなく又は振替休日を手配できない場合、企業の操業停止期間中の賃金の支払いに関する規定及び賃金支払基準を参照するうえ、労働者と協議を行うことができます。即ち休業が1賃金支払周期(最長30日)を超えない場合は、通常労働時間に従って賃金を支払い、休業が1賃金支払周期(最長30日)を超え、かつ従業員に業務を手配していない場合は、休業の2回目の賃金支払周期から、使用者は現地の最低賃金基準の80%を下回らない基準で従業員に生活費を支給します。

3.労働者が政府による感染対策措置を遵守せず、隔離治療又は医学観察を受けることになった場合、労働者は当該期間中の賃金報酬を請求する権利を有しません※。

※ 広東省高級人民法院、広東省人的資源社会保障庁による「新型コロナウイルス肺炎流行に関わる労働人事紛争事件の審理に関する若干問題に係る解答」(粤高法[2020]38 号) 第5条 労働者は、使用者に対し通常労働時間に基づき新型コロナウイルス肺炎による隔離治療期間又は医学観察期間及び政府による隔離措置実施期間における賃金報酬を支払うことを要求する場合、これを支持する。労働者は、政府による感染対策措置の規定を遵守せず、隔離治療又は医学観察を受けることになり、労働者が当該期間における賃金報酬を請求する場合はこれを支持しない。

 

2使用者はコロナ禍により操業停止又は一部操業停止となった場合、従業員の賃金待遇はどのような基準で支払うべきか?

:賃金支払基準の問題について、「深セン市従業員賃金支払条例」第28条によると、従業員の原因によらずに使用者が事業を停止し、1賃金支支払周期(最長30日)を超えない場合、使用者は通常労働時間に従って賃金を支給し、休業が1賃金支払周期(最長30日)を超え、かつ従業員に業務を手配していない場合は、休業の2回目の賃金支払周期から、使用者は現地の最低賃金基準の80%を下回らない基準で従業員に生活費を支給します。

賃金支給日に関する問題について、人的資源社会保障部による「新型コロナウイルス感染症肺炎の感染対策実施期間における労働関係の安定と企業の業務再開の支援に関する意見」の規定により、企業はコロナ禍の影響を受け、又は感染対策措置の影響により経営難に陥り、支払日通りに賃金を支払うことができない場合、労働組合又は従業員代表と協議し同意を得た上で、労働者への賃金の支払いを延期することができます。但し、支給日の延長は通常1か月を超えないものとします。

企業はコロナ禍の影響により、操業停止又は一部操業停止となった場合、民主手続きにより労働者と協議を行い、賃金・賞与及びシフト勤務の調整、労働時間の短縮等により業務の安定化を図ることもできます。コロナ禍の影響により経営難に陥った企業の操業停止が1賃金支払周期を超え、かつ従業員が通常労働を提供した場合、企業は従業員と新たな賃金基準について協議することができますが、企業が従業員に支払う賃金は現地の最低賃金基準を下回ってはならないとされています。