「上海仲裁協会アドホック仲裁規則」
アドホック仲裁は、19世紀半ばにヨーロッパで誕生し、機関で行われる仲裁とは対立する仲裁制度である。この制度では、当事者は契約に基づいて自ら仲裁廷を結成し、仲裁機関は手続上の管理を行わない。「上海市国際商事仲裁センター建設推進条例」第20条によると、上海は、国家部署に従って、渉外要素を具備する商事・海事の領域で、上海において、特定の仲裁規則に基づいて、特定の人員によりアドホック仲裁を行うことを探索している。「上海市渉外商事・海事アドホック仲裁推進弁法(試行)」第6条によると、上海仲裁協会は、関連の法規定に基づいて、国際的に通用する慣例を参考にしてアドホック仲裁規則を制定・公布し、当事者の合意によって適用させることができる。2024年8月1日、上海仲裁協会は、「上海仲裁協会アドホック仲裁規則」を公布した。
当該規則は計五章58条からなり、アドホック仲裁の基本原則およびアドホック仲裁契約、仲裁地、指定期間等アドホック仲裁の特徴を有する条項を明確にした。また、送達および期限、仲裁言語、秘密保持等アドホック仲裁の主要な面で原則的な規定を設けている。仲裁地が中国上海で、以下の4つの類型の渉外商事・海事紛争については当該規則によりアドホック仲裁を行うことができる。(一)上海市に登録されている企業の間での紛争;(二)上海市浦東新区に登録されている企業と国内外の当事者との間での紛争;(三)国内自由貿易試験区に登録されている企業の間での紛争;(四)外国または香港特別行政区、マカオ特別行政区、台湾地域の企業の間での紛争。